10月上旬、柏倉陽介写真展を開催します。過去年に何度も島に足を運び、ひとり稜線を歩き続けた柏倉さんの見た景色。それは神々の庭だったのかもしれません。彼はタイトルSisyphus(シーシュポス)について『遠い昔、何者かに運ばれてきたような丸い岩に座りながら、私はシーシュポスのことを思った。巨岩を山頂にあげる業を神々から背負わされた人間の名だ。岩は山頂に持ち上げられるとすぐに奈落の底に落ちていく。彼は山を下り、再び岩を山頂に持ち上げなければいけない。永遠に続く無益な労働と不条理を象徴した話。徒労。それは私が最も恐れをなす言葉だ。たった独り山頂で写真を撮るこの姿こそ、徒労そのもの。まるで立ち尽くしているようにも写るのではないか。嬉しいも悲しいもなく、明と暗が繰り返されていく世界を前にして、私には美しいと感じる目だけがただ残される。シーシュポスは山頂で何を感じたのか。転がる岩は何も答えてくれない。この岩のように、不条理から目を反らさず、己の運命を遥かに超えた宿命の渦中にいることを誰よりも知り尽くし受け止めていたのだ。そう思いたい。』といいます。
旅樂ギャラリーTheArtsFacotoryにて10月開催の日程についてはまた後日お知らせ致します。どうぞお楽しみに。/田平 写真:柏倉陽介