屋久島ガイド旅楽のエコツアー

　

　都会に居ると雨はネガティブな意味しか持たない。

そんな先入観を２６年持っていた僕たちには雨のスタートはマイナスの感情しか湧いてこなかった。そんな中、田平さんの言葉、木々、川、森、緑そんな目に飛び込んでくる物を見ているうちに、森自体が歓喜に満ちているように感じた。それ以降、登山をしている間めまぐるしく変わる天気の中で一度として天気に関してネガティブな感情を抱かなくなった。全ての事柄は、中立的に起こっているだけであって受け取る側の心の気持ち次第で変わる事を知った。森はそんな当たり前の事を僕たち夫婦に教えてくれた。

　だいぶ歩いていくと人の手が入ってない自然の力だけで育ったその森に足を踏み入れると景色は一変し屋久杉の大きさはスタート時のものと比べられないほどに大きく、ここからの原生林はまさにすべてのバランスに意味があり目に映る全てが完璧だった。そして、気の遠くなるほどの時間軸の中そこに立ち続けている縄文杉はなんと近年の調査により今もなお成長している事が分かった。そんな縄文杉を見る為に登山開始から約４時間、初めての登山に悪戦苦闘しながらもその瞬間瞬間Bestの足の踏み場を探し一歩一歩積み重ね遂に縄文杉を前に、「生きろ」そんな、シンプルで普遍的な言葉を投げかけられたような気がした。

都倉賢