山内悠写真展「惑星」 地球の創生を思わせるような鉱物の世界、自然と共存し原始的な暮らしを営む遊牧民、現代の文明を享受する都市、 そして、どこか既視感のある未来を彷彿とさせる砂漠の風景。旅を終え、撮影した写真を並べてみると、そこにはこれらの 光景が表われていた。 自然と人間が調和する世界を求めて始まった旅は、モンゴル全土、中国の内モンゴル自治区を巡った。旅は僕自身の 目的を追いかける中で、いつのまにか思わぬ場所を行き来するものになっていた。これらの写真は横に並ぶことで、あたか も人類の歩みを俯瞰するようにも感じられるが、実際にはそれぞれの世界が、同時に、同じ国の中ですぐ隣り合わせに 存在していた。 そして、それぞれの場所でそこにいる人々と交流をもつと、世界というのは個人の内側でさらに多様であった。あらゆる世界 が並行して存在し、並行した異なる「いま」を生きている。それは宇宙に広がる惑星から、地球全ての場所、家族や個人、 足元に至るまで、無数の世界がいま此処に隣り合わせに存在しているということだ。時間という過去や未来も、理にかなう 直線的な実態はなく、全ては出来事でしかない。相対的な「いま」という点として、互いに秩序なく隣り合わせに在るだけだ。 すべてが「いま」という瞬間に存在している。僕たちがいま此処に在るということ。それは、すべての瞬間における無限の選択の 集約である。世界は常に「いま」という時の中で無限に形成されていく。まるで無数の惑星ように。 山内 悠 山内 悠 Yu Yamauchi 1977年、兵庫県生まれ。長野県を拠点に国内外で作品を発表している。独学で写真をはじめ、 スタジオアシスタントを経て、富士山七合目にある山小屋・太陽館の滞在中に撮り続けた作品を まとめた写真集『夜明け』(赤々舎)を2010年に発表。2014年には、太陽館の主に焦点をあてた 山小屋での日々を著した書籍『雲の上に住む人』(静山社)を刊行。2020年、5年をかけて撮影し 続けたモンゴルの写真をまとめた『惑星』を出版。 http://www.yuyamauchi.com/ 山内悠写真展 「惑星」 会期:2021年8月7日(土)~8月28日(土) 場所:GALLERY TABIRA 入場無料 定休日:8月11、14、26 他不定休 開館時間:11:00-17:00(最終日15:00) |